インターミッション・スマホでお絵描き

指で線が引けるのかと思うけど引いちゃっている人が結構いるという話

スマートフォンにはタッチパネルというのが標準搭載されています。今更説明するのもなんですが、これは画面を直接突っついてアイコンを操作し、スマホのシステムにコマンドを入力する、というものです。

余談ですが、スマホを含めたパソコンというのは、端的に言えば「コマンドを入力し、機械に実行させるシステム」です。コマンドを入力するのは主にユーザーですが、ユーザーの命令を待たずに他からデータを引っ張ってきて自動で動くプログラムもいっぱいあります。

ユーザーからのコマンド、というのは、大昔においてはキーボードを叩いて入力するのが普通でした。しかしこの場合、パソコンを使いこなすためには膨大な数のコマンドを記憶し、かつスペルミスなしに入力しきれなければなりません。パソコンオタク以外にこんな真似は難しかったので、コマンドをアイコンや各種のボタンにして、ユーザーにそれを押させるシステムに変わっていきました。

「アイコンやボタンを選択して押す」ために、マウスという周辺機器が使われるようになり、やがてはタッチパネルが使われるようになった、という流れになります。

というわけで、タッチパネルは本来スマホにコマンドを入力する「ポインティングデバイス」と呼ばれる機器で、お絵かき用のツールではありませんでした。ですが、機能的にどっちも似たようなもんだろ、ということでお絵描き用の機能が追加されていきます。先に述べたように、単なるポインティングデバイスでも線は引けないことはないのですが、よりユーザーの思った通りになるように、「筆圧感知」という機能が追加されたのです。これは読んで字のごとく、力を入れて引いたら線が太くなり、力を抜けば細くなる、という便利機能でした。

巷で「お絵描きに適したスマホ」と言われているのは、この筆圧感知機能を搭載した機種です。これがあれば人によっては結構快適に線が引けるようになるのですが、あくまで「人によっては」の話です。中の人のように指が太くて肉体そのものがポインティングデバイス的ではない人間の場合、筆圧が感知されようがされまいがそれ以前の段階できれいな線が引けず、「スマホで絵を描くやつなんて変態だ!」とわめき始めることになります。

動画などを見ると、「スマホに指で線を引く」タイプの人は、キャンバスを思いっきり拡大してやってるみたいです。まあ確かに超拡大状態だと、ぶっとい線で描いても拡大を解除すると細い線になりますし、ちまちま短い線を描けるので、曲がり歪みを気にする必要もなくなります。

スマホでも「曲線定規」「線画抽出」は使える

まあ「できる人はできる」スマホでの指線画ですが、それは逆に「できない人にはできない」ということでもあります。

ひょっとすると、一番「できない」のは、パソコンにタブレット繋いで絵を描くことに慣れた人かも知れません。

ですが、ポンコツパソコンでお絵描きをするのと同じで、スマホの場合もタブレットや指(この場合液晶パネルそのものがタブレット扱いになります)を使わなくてもお絵描きができるのです。

まず、「曲線定規でお絵描き」ですが、メジャーなスマホ用のお絵描きソフトである「アイビスペイントX」「メディバンペイント」は対応しています。どちらも、円または楕円を描いてその一部をなぞる、という方式です。WindowsやLinux用のお絵描きソフトとはやり方がちょっと違うのですが、指が太かろうが不器用だろうがちゃんとした曲線が引けます。細い線できれいな曲線をいっぱい引ければ、人に「うまいんじゃない?」と言われるような絵も描けようというものです。

メディバンペイントの曲線定規。赤い円の縁をなぞるときれいな曲線が引けます。

スマホでお絵描きをするのと、タブレットが使い物にならないポンコツPCでお絵描きをするのは、実は結構似ています。ここで紹介しているポンコツPCを組み上げたいけど素材のポンコツが見つからない、という人は、スマホで試してみてもいいかと思います。

というか、小中学生が学校から配布されたChromebookにアプリインストールが可能なら、迷わずこの手のアプリをインストールして使うのが近道なのです。