小学生にとっての無料パソコンとは
去年からGIGAスクールというプロジェクトが始まりまして、小学校低学年はiPad、高学年はChromebookを持たされるようになりました。
Chromebookというのは簡単に言っちゃえばグーグルのブラウザChromeと、同じくグーグルが提供しているスマートフォン用のOSであるAndroidのアプリだけが動作するパソコンです。ここ数年、ブラウザのウィンドウ内で動かす「Webアプリ」というのが流行するようになり、ワープロも表計算もブラウザの中でできるようになっちゃったので、「じゃあブラウザだけ動くパソコンあれば不自由しないでしょ」というノリで作られたのがChromebookだったわけです。
ブラウザだけ動けばそれでいいので、普通のウィンドウズ用のものよりも低性能なパソコンでもそれなりに動作します。ブラウザアプリで処理するデータファイルは基本的にクラウドストレージに保存するので、大容量のハードディスクを搭載する必要もありません。これらの特性のおかげで、結果的に本体を安くあげることができるのです。
ただ、小学生が使っているChromebookは、一般人が使っているChromebookとはちょっと違います。先に述べたように、一般人が使うChromebookはウェブアプリだけでなくAndroidアプリも動きますが、小学生のChromebookでは動かせません。厳密にいうと、システム的には動かせるのですが、Androidアプリの入手先である「Playストア」が組み込まれていないのです。
そして教育現場というのは、どうも生徒にパソコンを使って文章書かせたり計算させたり、汎用性の低い「教育アプリ」を使わせることに熱心ではあるのですが、残念なことに「お絵描き」や「動画製作」を教えてはくれません。将来的にはこれが一番稼げるスキルになるんですけど……。
せっかく無料で配布されたハードがあるので、それを活用してコンテンツ製作の技術を身につけてもらうべきなのですが、新規にアプリをインストールできなくなっているのでは使い物になりません。「アプリ使えるようにしろよ」と教育委員会に申し入れればよさそうなものなのですが、そんなことをしたら蜂の巣をつついたような大騒ぎになります。
というわけで、お絵描きと動画製作の意義を先生方に話し納得してもらうよりは、やる気のある児童生徒にタダ同然で手に入る環境を紹介し、そっちを使ってお絵描きと動画製作を教えた方が効率的ではないか、と思うようになったのです。