小学生の将来の夢
去年の2学期のはじめの時期に、とある小学校に呼ばれてリモート授業のトラブルシューティングってのをやったんですよ。
とはいっても、トラブルが発生しなければ単なる教室警備員にしかならないわけですね。先生方がそうだとわかっていなければ校内をうろつくへんたいふしんしゃさんです。
まあ実際へんたいさんな行為をしていたわけじゃなく真面目にお仕事してたんですが、その最中にふと教室の後ろの黒板を見てしまったわけです。
そこには、「将来なりたいもの」というのが一面に貼られていました。
さらにその中を見ると、どうも「サッカー選手」と「イラストレーター」がほぼ同数でツートップだったわけです。両方合わせて全児童の7~8割はあったでしょう。
ここの例だけじゃなく、最近では小学生に「将来何になりたい?」と聞くと、イラストレーターだけじゃなく漫画家・ラノベ作家・アニメーターというのが多数を占めるといいます。
ですが、地方ではそういう児童たちの夢を受け入れる土台を作っているでしょうか? まず間違い無しに否ですね。
この一方で、地方の行政は「若者の流出が止まらない」と騒いでいるわけです。そりゃ流出するのは当たり前でしょう。地元では希望する職業に就けると思われてないんですから。
さらにぶっちゃけ言うと、現在では都会に行けば、漫画家やラノベ作家やイラストレーターになれるというものでもありません。
少年ジャンプを例にとってみましょう。「鬼滅の刃」の作者である吾峠呼世晴さんは九州在住で、東京に出てきたことはないようです。漫画をデジタルで作っている場合、地元でデータを仕上げ、それをネット経由で送ってしまえばそれでいいわけです。打ち合わせは電話でもスカイプでもできます。
というわけで東京に出るということはコンテンツ製作業にとってメリットがないわけですが、巨大なデメリットは確実に存在するのです。
それは、家賃と物価の高さです。
下積みのコンテンツ作家というのは基本的にみんな貧乏です。収入が少ないのでそのうち家賃負担が重くのしかかってきて、最終的にそれを負担しきれなくなって筆を折った作家さんというのを、わたしは多数見てきました。なにを隠そう、自分も家賃に負けて地元に戻ってきたひとりなのです。
創作を行う環境としては、都会より田舎の方がずっとすぐれています。その可能性を掘り起こせば、子どもたちはよそに流れていかずに地元に定着するんじゃないでしょうか?