手持ちのガラクタでなんちゃってChromebookを作った話(接触篇)

子どもたちが学校から与えられているChromebookは、お絵描き・動画編集には極めて使いにくい代物です。アプリ追加できないから。

じゃあ他の端末を用意するしかないね、ということになります。ただしできればお安く済ませたい。

そういう貧乏くさい発想から出てくるのが「ほぼジャンク扱いされているパソコンで似たようなものを作れないか?」ということです。

こういう代物はWindowsがまともに動かなくなったから、パソコンという商品ではなく単なるガラクタとして取引されています。しかし、Windows以外の基本ソフトを入れればそれなりに動いてしまうわけです。よくその手の動画にある「○○に○○を入れたら爆速になった!」って煽り文句には多少異議を唱えたいところですが。

で、言っちゃあなんですYoutubeとかでジャンクPCに他OSを入れましたという動画を作っている人の大部分はジャンクマニアまたはOSマニアで、ガラクタに片足どころか両脚突っ込みかけてるPCになにかを入れて動かすことそれのみに情熱を傾けている人か、素顔の八代亜紀のように誰も知らないマイナーなOSを手持ちの機械に入れて「ほうら動いたでしょ」とドヤることを目的にしている人です。簡単に言うと、それそのものが趣味になっている人、というわけです。それが悪いというわけではなく、趣味としては悪くないからどんどんやって欲しいとは思います。

わたしの場合、「動いたわーい」で終わりではなく、実用に耐える道具として磨き上げたいのです。別にムラマサブレードやエクスカリバーのような超高威力のツールになって欲しいとは思いません。「ひのきのぼう」クラスで十分なのです。「ひのきのぼう」を振り回していれば、ムラマサやエクスカリバーのありがたさも理解できるようになるし、それを手に入れた時にきちんと使いこなすことができるようになるでしょう。ハードやアプリに振り回されるのではなく、それらを使いこなせるようになることは、PCを使う上で非常に重要なことです。

というわけで、「ひのきのぼう」になりえそうなハードとOSを探してくることになります。2022年現在だと、もっともお安く手に入るハードは、Core2Duo搭載機でしょう。Pentium4搭載機だと古すぎて逆にレア物になってしまうように思えます。Core2Duo搭載機なら、うまくするとちょっとお金持ちの知り合いからタダでもらえるかも知れません。

手に入れたら、メモリをできるだけ搭載します。Core2Duo機に対応しているDDR2対応メモリなら、本体同様に爆安で販売されてます。これを可能なら4GB、そうでなくても2GB分は用意しましょう。なお、安く済ませたいならメモリは普通の家電店で買ってはいけません。ハードオフに行きましょう。保証など気にしてはいけません。ここで紹介しているのはとりあえず目の前のバトリングで勝利するためのスコープドッグの作り方なのです。「肩を赤く塗らねぇのか?」という質問には答えますが、向こう数年に渡って安定的に作れる機械なぞ眼中にありません。ハードが壊れたら次のタダ同然に乗り換えればいいのです。データをクラウドに保存するようにすれば、ダメージは常に最小限で済みます。

次はハードディスクです。これもやっすいSSDに交換することが理想です。ただしPCの腹かっさばいていろいろパーツ交換するとかできないわ、という人も多いので、自分には無理と思ったら交換しなくてもいいんじゃないかと思います。

ここらへんまでやったとしても、1万円を超えないぐらいです。繰り返すようですが、うまくいけばタダで手に入ります。

ハードを手に入れたら、次は基本ソフトというかOSを調達することになります。

学校で配っているのがChromebookなので、ここはChromeOSを入れてみたい、と思うのが人情というものです。

ChromeOSというのは、Googleが作ったOSで、通常はChromebookに組み込まれています。つまりChromebookを買わないと手に入りません。一応バックアップ用イメージというのも配布されているのですが、それは現在流通しているChromebook各機種専用です。Windowsのように、一定の基準を満たしたハードウェアなら何にでも組み込める、というのではありません。

OSを各機種専用にしちゃうということは、それぞれの機種での動作をより確実にする、という利点を持ちます。ただその機種をいつまで使えるかはGoogle様の胸ひとつということになります。Google様が「明日サポートを打ち切る。サポート無しで不安なら新しいOSを買うがよい。ハード付きでだ」という外道な要求を突きつけてきたら、素直に白旗を上げるしかありません。

Google様もそれはあまりに外道だと思ったのでしょう。最近になってWindowsのように一定の基準を満たしたハードで動く汎用性のあるイメージを配布するようになりました。ChromeOS Flexというのがそれです。また、CloudReadyという似たような立ち位置のOSを配布していた会社を買収し、CloudReadyもGoogle提供だよ、と主張するようになりました。

ならば用意したガラクタにChromeOS FlexかCloudreadyを組み込めば、学校で配布されるChromebookとほぼ同じものができる。それ使ってお絵描きと動画編集すればいいじゃん、ということになりますね。ですがことはそううまく運びません。

なぜならこうしてできるのは「学校で配布されるChromebookとほぼ同じもの」だからです。

つまりAndoroidアプリをインストールして動かすすべが「公式には」絶たれているのです。しかもClomeOS Flexは要求してくるハードウェア水準がCloudreadyよりも上です。廃品寸前のガラクタでは動いてくれません。

Cloudreadyも32ビット版の配布を打ち切ったり、Core2Duoで使われているグラフィックチップに対し、「もうすぐサポート打ち切るぞオラァ」というメッセージを出すなどかなり挑戦的です。貧乏人にとってどんどん生きづらい世の中になっているような気がしないでもありません。

とは言うものの、Chromebookは本体が安いので、そもそもChromebookそのものがスコープドッグなのだ、と考えれば、常に一番安いハードを買ってサポート切れたら次の最安機に乗り換えるというのもアリなのかも知れません。Androidアプリ使えますし。