緊急連載:高齢者にスマホを使ってもらうためには?(2)
AndroidとiPhoneどっちが高齢者には適しているか問題
最初に揉めそうなネタから。
タイトル通り、デジタルガジェットに苦手意識を持つ高齢者が使うスマホとして、AndroidとiPhoneのどっちがお勧めか、という話です。
最初に結論を言ってしまえば、操作性の面だけに絞ればAndroidの方がお勧め、です。
なんでそうなるのかというと、旧タイプのiPhoneには、「ホームボタン」というものが存在したからです。
前回の記事を読んだ人は、「ホームボタンって機械式のボタンでしょ?機械式ボタンだらけのビジネスホンを使っていた人と相性がいいんじゃないの?」と思うかも知れません。
ボタンが機械式でも、それで基本機能が全部使えるようになっていれば、何の問題もありません。何を隠そう「ガラケー」ってそういうもんですから。
余談ですが、通話以外の機能がいくつもアプリの形で詰め込まれているので、「ガラケー」は立派な「スマートフォン」です。ただ、日本以外の国ではまず使い物にならない「ガラパゴス規格」のスマホだったから、世界中で使えるAndroidはiPhoneに駆逐されてしまったのです。
最近では「ガラホ」なる変なスマホも発売されていて、それは何かというと数字キーとオンフック・オフフックキーが機械式になっているスマホなわけです。先に書いた旧ビジネスホン族には使いやすいと好評なようです。
じゃあ物理キーが存在するiPhoneはAndroidより高齢者にお勧めなんじゃないか、と思われるかも知れません。確かに、電話としての基本機能を全部物理キーでカバーしていれば、そう言えたでしょう。
マズいのは、物理キーとソフトウェアキーが混在している、ということなのです。中途半端に混ぜられるよりは、全部ソフトウェアキーにしてもらえた方がまだわかりやすいのです。
しかも、iPhoneの場合、比較的新しいモデルではホームボタンが廃止されています。廃止されているならそれでいいじゃない、という話にもなりそうですが、あるモデルではあるものがあるモデルではない、となると、操作を教える方が混乱してしまうことになります。
どういう感じにセットアップするか問題
高齢者に「スマホ買いに行きましょう」というと、ごく当たり前のように3大キャリアのショップに行こうとするでしょう。
でも、これはあまり賢いやり方とは言えません。
中の人の奥さんは、いまだに大手キャリアのスマホを使っているのですが、月当たりのケータイ代が一万円前後になってしまっています。端末のローンも含んでいるので、それでもまだあまり高くない方です。
ですが、奥さん以外の家族(娘一人と息子二人と中の人)全員のケータイ代を合計しても、奥さんのケータイ代の半分ぐらいにしかならないのです。
なんでそうなるのか説明しましょう。
奥さん以外の家族は全員、格安SIMと中古端末の組み合わせを使用しているからです。
しかも、中の人がずっと以前からネットでものを調べて文章を書くという仕事をしているので、家兼事務所にはかなり前から高速インターネットの常時接続環境が存在します。端的に換言すれば光回線引っ張ってるってことです。
奥さんを含む全員が、家にいる間はこの光回線にWi-Fi経由でスマホを利用しています。ついでに基本的にみんなおうち大好きピーポーなので、外出時にLTE回線を利用することがあまりありません。なので、全員最低ランクのギガ容量で間に合ってしまうのです。Wi-Fi経由では全員バリバリネットを使っているので、実際の通信量はとんでもないレベルになっていると思います。
で、中の人の家族のスマホの使い方って、実は高齢者のそれとよく似てるんですよね。中の人の家族は単純におうち大好き(≒ひきこ●り)なのですが、高齢者の場合身体的な理由であんまり外出はできません。結果的に、家でスマホを使うケースが多くなると考えられるのです。
もしも高齢者が他の家族と同居している場合、中の人の家庭同様常時接続回線を別途維持し、家にいる間はWi-Fi経由でネットに接続するようにすれば、通信費は大分安上がりになります。Wi-Fi接続設定は、一度やっちゃえば同じアクセスポイントに次回以降接続する場合はスマホが勝手にやってくれますので、ほとんど気にしないで済みます。
次は端末です。先に述べたように、中の人ファミリーは奥さん以外全員中古を使っています。購入額が2万円を超えるようなものは使っていません。
日本のスマホ市場の場合、iPhoneが圧倒的なシェアを持っています。なので中古端末も比較的豊富にあります。新品価格はiPhoneの方が高めなのですが、中古端末が豊富なおかげで、目茶苦茶安いものはiPhoneの方が多く見つかるのです。iPhone6とかだとこれが携帯の値段かと思うような価格で売られていることがあります。
現在のスマホは、電話というよりはネットに接続して使う情報端末となっています。そして接続にはLTE、つまり4G回線を利用しています。このため、4Gの速度で送られてくるデータを処理しきれるように本体の速度が決められるようになっています。ですから4G対応スマホであれば、「遅くてどうしようもない」と感じることは少ないでしょう。
「見たこともない他人が使った電話機なんて気持ち悪くて使えない」という方でなければ、とにかく安い4G対応のスマホを買ってあげる、というやり方は「アリ」であるように思われます。ただ安さを追求しすぎて古いiPhoneを購入すると、上記の「ホームボタン問題」にぶち当たりやすくなることは、覚悟しておいてください。